2008年08月10日

GOTH

「失はれる物語」を読んだ後だったこともあって、この作品のドス黒さというかドスグロさはピカイチですね、乙一だけに。げらげらげら。いや、作品は面白くて、黒の乙一を存分に楽しむには良かったです。これぞ!って感じで。アレな表現も一種の芸術に思えてきます。基本的には苦手なんだけどね(

今回読んだのはハードカバー版です。「暗黒系」「リストカット事件」「犬」「記憶」「土」「声」の6編が収録された短編集。主要人物は一貫してるのでシリーズものなんですが、「声」さえ最後に読めば他の順番は特に気にしなくていいようにできています。ちなみに文庫版は「夜の章」と「僕の章」の2冊構成になっていて、夜の方は「暗黒系」「犬」「記憶」、僕の方は「リストカット事件」「土」「声」という風にハードカバーとは収録順序が変わってます。でもオススメとしてはハードカバーの順番で読むのがいいかなーと思う。
あと、Wikipediaには致命的なネタバレがあるのでこれから読む人は見ないことを推奨します。

さて「GOTH」という作品の何が(いい意味で)ひどいかって、主人公の「僕」がひどい。殺人事件の記事を好んで集めたり、殺人現場に赴いたり、特異な趣味を持ってるが故に色んな事件に巻き込まれるっていう話です。でも左記のこと以外で一部共感できる部分もあって、そこが話を嫌悪感丸出しにせず読み進められる一因でもあるのかなと思います。ヒロインの森野もそんな主人公の異常を見つけてお互い干渉しあうことになるんだけど、こっちの方が人間味があったりして、そんな二人の関係が読んでいて面白いです。実際にこういう人達がいるのかって考えたときに、何となく「乙一本人」が思い浮かんだ。まぁ本人のこと知らないけど。
それから犯人の異常性もひどいのが乙一の特徴なのかなーとは思うけど、他の作者のこういう作品を読んだことがないからわからない。ただ、往々にして犯人の心理や背景の描写が少ないのは、乙一流の不気味さを演出するためだとしても、違和感を感じることがあるのでそこは人の好みが分かれるところですね。まぁ「ZOO」の「SEVEN ROOMS」ほどではないのでキャラが立ってるといえば立ってるけど。

では軽く感想。

「暗黒系」
グロ度★★★★
↑こんなの付けてみたけどあくまで主観です。推理物っぽい展開ではあるけど別に読者に犯人を当てろとかそういう話ではなくて、事件に迫っていく僕と森野を遠目に眺める作品。「GOTH」のイメージは大体これで掴めると思います。自分の中では6つのうち一番グロいと思ってるんで、これが大丈夫なら他のも平気だろうという、ある意味「ふるい」として働いてる部分があるのかなとも感じました。最初の方だけでも立ち読みしてみて気に入ったら買ってみるといい。

「リストカット事件」
グロ度★★☆☆
題名から内容を想像すると多分裏切られます。そっちかよ!って感じで。読めば分かります。これも僕の好奇心から犯人との接触に繋がっていくんだけど、僕のちょっとしたトリックがなるほどと思った。結末がちょっと滑稽で割と好きな作品。時系列的には「暗黒系」より前の話みたいです。

「犬」
グロ度★★★☆
これはきっと終わった後にもう一度読み返す。と予言しておきます。小説ならではのどんでん返しに度肝を抜かれました。これ、読んでる途中で気付く人いるのか?…と聞いて、何に?と思いながら読んでも多分気付かない。そんな仕掛けがある作品。まぁ一部腑に落ちないところもあるけど。記事の冒頭で話した犯人の心理描写という点ではこの作品が一番しっかり書かれているので好きな人は好きだと思います。俺も好きです。
ちなみに乙一公認(だったはず)の森野の萌え度アップ作品。らしい。

「記憶」
グロ度★☆☆☆
森野の話。多分ぼーっと読んでると話がよく分からなくなると思います。でも最終的に言いたいことが分かれば問題ないかなとかいい加減なことを言ってみる。森野のキャラを際だたせるためのお話。

「土」
グロ度★★☆☆
淡々と怖い…!犯人が罪の意識を持ちつつ罪を犯す辺り、人間的なところが凄い表されている気がします。また、後半のドッキリは結構無理があるような、とは思いつつもオチがまた絶妙。厨二病な人は好きそうです(ぁ

「声」
グロ度★★☆☆
乙一マジック発動!これは卑怯だ…!まさかとは思いつつ、やっぱりかーという展開に持っていくのはさすがだと思います。ドキドキ感がたまらない。登場する姉妹の真実が明かされたところはぐっと来ますね。「GOTH」の中で唯一白い部分だと思う。
気になったんですが、「僕」が自分のことを「俺」って呼んだことあったっけ?


ざっとこんな感じで><
漫画版も手に入れたんだけど、絵が雰囲気出てていい感じ。ただ、絵が上手い分グロいところがとことんグロいので、苦手な人は小説で止めておくのがいいと思います。よくあんな絵が描けるよなぁ…。ちなみに漫画「N・H・Kにようこそ!」を描いてる人。

この間「暗黒童話」を古本屋でゲットしたけど時期が時期なので少しずつ読んでます。まだ1章でこれからどうなるのかわくわく。そろそろ白いの読みたいなぁ(
posted by 祈弘 at 12:43| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
漫画版は高校のときに読みましたよー面白かった。
小説版もハードカバーで持ってるんですが読んでないっす
あんまり話覚えてないですけど土(かな?)の1ページだけ異常に記憶に残っている
怖いですね( ´・ω・`)
乙一読んだことないけど小説版も読もうという気になりました。あーざーっす
Posted by なっぱ at 2008年08月10日 19:57
そう言ってもらえると感想書いた甲斐があったってもんだ!
土は強烈だね。最後が切ないだけあって印象深い。
持ってるならぜひぜひ読んでみてー。
気に入ったら次は「失はれる物語」がオススメ。
2通りの乙一を堪能するといいよ。
Posted by 祈弘 at 2008年08月11日 01:06
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